【ジョブ型 vs メンバーシップ型】流行りで選ぶと危険!中小企業に本当に必要な「活きた人事制度」のつくり方

近年、ニュースやビジネス誌で「ジョブ型雇用への移行」という言葉を目にしない日はないほど、従来の「メンバーシップ型雇用」からの脱却が叫ばれています。大企業を中心にジョブ型雇用の導入が進む中、多くの経営者様や人事責任者様から「うちも流行りのジョブ型に変えた方がいいのだろうか?」「メンバーシップ型のままでは時代遅れなのだろうか?」というご相談をいただきます。

しかし、数多くの企業で人事制度の設計・運用に伴走してきた結論から申し上げると、「ジョブ型か、メンバーシップ型か」という二者択一の議論に乗っかること自体が、大きな落とし穴です。

他社の真似をして形式的なジョブ型制度をそのまま導入した結果、「自分の職務記述書(JD)に書かれていない仕事はやりません」と社員の協調性が失われ、組織が冷え切ってしまう中小企業が後を絶ちません。

本記事では、ジョブ型とメンバーシップ型の本質的な違いとメリット・デメリットを整理した上で、安易な流行に流されず、自社の理念と現場に合った「本当に機能する人事制度」のつくり方について解説します。

1.ジョブ型とメンバーシップ型の根本的な違い

まずは、両者の違いを概念として正しく理解しておきましょう。根本にあるのは「仕事に人を割り当てるか」「人に仕事を割り当てるか」という発想の違いです。

項目ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用
基本発想「仕事(ジョブ)」に「人」を当てる「組織(メンバー)」に「人」を採用する
評価・給与の基準職務の大きさ・達成度(仕事給)年齢・勤続年数・潜在能力(職能給)
職務範囲明確(職務記述書/JDで定義)無限定(指示に応じて柔軟に対応)
強み専門性の向上、評価の明確さチームワーク、柔軟な配置転換、一体感
弱み「ポテンヒット(隙間業務)」の押し付け合い評価の曖昧さ、若手のモチベーション低下

ジョブ型は特定のスキルの評価や専門人材の獲得に強みがある反面、チームでの助け合いや変化への柔軟な対応が難しくなるという側面があります。一方、メンバーシップ型は一体感やチームワークに優れる反面、成果や役割に対する納得感が薄れやすいという課題を抱えています。

2.中小企業が「完全なジョブ型」を導入して失敗する3つの理由

欧米や日本の大手IT企業などで成果を上げているからといって、そのまま中小・ベンチャー企業に完全なジョブ型を持ち込むと、高確率で制度が形骸化・機能不全を起こします。

理由1:「誰の仕事でもない隙間業務(ポテンヒット)」を誰もやらなくなる

中小企業の現場では、日々予期せぬトラブルや新しい課題が発生します。職務記述書(JD)で「あなたの仕事はこれだけ」とガチガチに規定してしまうと、「それは私の契約範囲外です」と互いに牽制し合い、誰の担当でもない隙間業務が放置されるようになります。

理由2:市場価値に左右され、人件費コントロール不能になる

純粋なジョブ型では、給与水準は「労働市場でのその職種の相場」によって決まります。ITエンジニアや特定専門職の市場価格が高騰した場合、社内の賃金バランスが崩れ、資金力で大企業に対抗できない中小企業は採用・維持が困難になります。

理由3:会社の「理念」や「想い」への共感が薄れる

「自分はこの専門業務をするために雇われた契約関係である」というドライな割り切りが先行すると、会社の目指すビジョンや創業の想いに対する共感が失われがちです。結果として、より高い給与を提示する他社へ簡単に転職してしまうという、離職率の高まりを招きます。

3.答えは「ハイブリッド」にある!自社に合った「活きた制度」の作り方

では、日本の中小企業はどのように人事制度を設計すべきなのでしょうか。私たちが推奨するのは、「メンバーシップ型の良さ(理念共感・チームワーク)」を土台に、「ジョブ型の良さ(役割・期待成果の明確化)」を融合させたハイブリッド型の制度設計です。

ステップ1:会社の「理念・バリュー」を評価の根幹に置く(メンバーシップ型の進化)

どれほど個人のスキルが高くても、会社の理念や行動指針(バリュー)に反する行動をとる人は評価しないという姿勢を明確にします。「周囲を助ける」「自ら課題を見つけて動く」といった協働姿勢を評価項目(バリュー評価)に組み込むことで、組織の一体感を保ちます。

ステップ2:「職務」ではなく「役割(等級)」を明確にする(ジョブ型の応用)

業務を固定化する「職務記述書」ではなく、そのポジションに求める期待レベルを示した「役割等級制度」を構築します。
「この等級(レベル)の人には、個人の目標達成だけでなく、チームのサポートや業務改善までを期待する」というように、柔軟性を残しながら役割の大きさに応じた給与体系を作ります。

ステップ3:評価者研修と1on1による「運用の定着」

制度の形(ジョブ型か否か)よりも100倍重要なのは、「現場で正しく運用され、社員が成長を実感できているか」です。
評価者である管理職が、制度の意図を理解し、1on1ミーティング等を通じて日頃から「なぜこの評価なのか」「期待する役割は何か」を部下と対話し続ける仕組みを整えます。

4.まとめ:他社の模倣ではなく、自社の想いをカタチにする制度づくりを

人事制度に「万人にとっての唯一の正解」や「流行りの最適解」は存在しません。

大切なのは、世間の流行り(ジョブ型等)に安易に流されることではなく、「経営者様が創業の想いとしてどんな組織を作りたいのか」「社員にどう成長してほしいのか」という理念から逆算して、現場で機能するオリジナルの仕組みをつくることです。

・ジョブ型・メンバーシップ型の双方のメリット・デメリットを正しく理解する
・「理念共感(チームワーク)」と「役割の明確化(納得感)」を両立させたハイブリッド制度を目指す
・制度を作って満足せず、評価者研修や1on1を通じて現場に泥臭く定着させる

他社の真似ではない、自社ならではの「活きた人事制度」を構築し、社員一人ひとりが「働く喜び」を感じながら成果を出す強い組織を目指してみませんか。


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MAUE-HRbaseでは、ジョブ型やメンバーシップ型といった既存のフレームワークに捉われず、貴社の理念や組織規模に合わせた「本当に機能する人事制度」の設計から現場への定着までトータルで伴走サポートしております。「自社に合った評価制度を見直したい」「ジョブ型導入を検討しているが迷っている」という経営者様・人事責任者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。